大きな地震や豪雨などの災害が起きたとき、命の安全を確保することが何よりも優先です。
一方で、避難したあとに気になるのが「通帳もキャッシュカードも持っていないけれど、お金を引き出せるの?」という問題ではないでしょうか。
実は、災害時には金融機関が被災者向けの特別な対応を行うことがあります。預金の払い戻しだけでなく、保険金や公的支援など、知っておきたい制度はいくつかあります。
目次
災害時にまず知っておきたいお金の基本
災害が発生すると、「財布を持って逃げなければ」「通帳だけでも取りに戻らないと」と考えてしまう人もいるでしょう。
しかし、避難するときに最優先すべきなのは自分と家族の安全です。
通帳や印鑑、権利書などを取りに戻るため、危険な場所へ向かうのは避けなければなりません。
災害の規模によっては、金融機関が被災者への特別措置を実施することがあります。
そのため、「大切な書類を持って逃げられなかったら、もう何もできない」と決めつける必要はありません。
ポイント:避難時は財産よりも命を優先しましょう。金融機関の対応は災害や地域、金融機関によって異なるため、発表される最新情報を確認することが大切です。
通帳やキャッシュカードがなくても預金を引き出せる?
大規模な災害が起きた場合、金融機関では被災者を対象に、通帳やキャッシュカードを紛失した場合の払い戻しなど、通常とは異なる対応が行われることがあります。
本人確認に必要な情報を確認したうえで、預金の払い戻しに応じてもらえるケースもあります。
過去の大規模災害では、一般の銀行で一定額までの現金払い戻しを行った例があります。ゆうちょ銀行などでも、災害時に特別な取り扱いが実施されたことがあります。
ただし、金額や必要な確認事項は一律ではありません。
「災害なら必ず20万円まで出金できる」と覚えるのではなく、被災した地域の金融機関が発表している特別措置を確認することが重要です。
定期預金などについても、災害時には特別な取り扱いが行われる場合があります。
困ったときは、金融機関の窓口や公式サイト、コールセンターなどで対応を確認しましょう。
避難時に通帳を取りに戻る必要はない
災害直後は、家の中に通帳や印鑑が残っていることが気になるかもしれません。
しかし、建物の倒壊や火災、浸水などの危険がある場合は、無理に取りに戻るべきではありません。
金融機関側にも災害時の対応が用意される可能性があるため、まずは安全な場所へ避難することを優先しましょう。
ネット銀行を利用している場合はどうする?
ネット銀行を利用している人の場合、「キャッシュカードがないと何もできないのでは?」と心配になることがあります。
こちらも、災害発生時には金融機関ごとに特別対応が行われる場合があります。
カードの紛失などで通常の方法による出金が難しいときは、金融機関の公式な問い合わせ窓口へ相談しましょう。
本人確認後、別の口座への振り込みなど、通常とは異なる方法で対応してもらえる場合があります。
ただし、具体的な金額や手続きは金融機関によって異なります。
災害時にSNSなどで出回る「この番号に電話すればお金を受け取れる」といった情報は、すぐに信用しないようにしましょう。
必ず金融機関の公式サイトなどから連絡先を確認することが大切です。
証券や保険の書類を失った場合
災害で家の中が大きく被害を受けると、保険証券や証券会社から届いた書類などを失ってしまうこともあります。
しかし、紙の書類を紛失したからといって、契約や資産そのものが消えるわけではありません。
現在は金融商品や保険契約などの情報が電子的に管理されているケースも多くあります。
そのため、書類を失った場合でも、まずは契約している保険会社や証券会社に連絡して確認しましょう。
災害時には、証券や契約書類を紛失した人への特別対応が実施される場合もあります。
覚えておきたいこと
- 紙の書類を失っても、契約情報まで消えるわけではない
- 保険会社や証券会社に直接確認する
- 災害時の特別措置が実施されていないか確認する
被災者が利用できる公的支援
災害によって住宅などに大きな被害を受けた場合、一定の条件を満たすことで公的な支援を受けられる可能性があります。
代表的な制度の一つが被災者生活再建支援制度です。
これは、自然災害によって住宅に大きな被害を受けた世帯などを対象として、生活再建を支援する制度です。
支援内容や対象条件は災害の規模や被害状況などによって異なります。
また、自治体や日本赤十字社などを通じて集められた義援金が、被災者への支援に活用されることもあります。
義援金は支援金とは性質が異なり、被災者への配分に時間がかかる場合があります。
ふるさと納税による災害支援もある
災害が起きた自治体を支援する方法として、ふるさと納税を利用した寄付が行われることもあります。
災害支援を目的とした寄付では、返礼品を設けない形で募集されるケースもあります。
「被災地を直接支えたい」と考える場合は、自治体や信頼できる公的な窓口から寄付先を確認すると安心です。
災害時に確認したい保険
災害による損害については、加入している保険によって補償の対象が異なります。
| 被害の例 | 確認したい保険 |
|---|---|
| 地震による住宅・家財の損害 | 地震保険など |
| 台風・大雨による水災 | 火災保険の水災補償など |
| 洪水などによる自動車の損害 | 自動車保険の車両保険など |
ただし、同じ「災害による被害」でも、加入している保険の種類や契約内容によって補償範囲は変わります。
特に注意したいのが地震による損害です。
一般的な火災保険だけでは、地震による損害が補償されない場合があります。そのため、地震保険への加入状況を確認しておくことが重要です。
また、保険金は被害の程度などによって支払額が変わります。
「災害に遭ったから必ず満額もらえる」とは限りません。
実際の補償については、契約している保険会社へ確認しましょう。
災害後に増える便乗詐欺に注意
災害が発生した直後は、被災者の不安につけ込む悪質な業者や詐欺に注意が必要です。
たとえば、住宅の被害を見て突然訪問し、
「火災保険を使えば無料で修理できます」
「今すぐ工事しないと危険です」
「保険金の申請をこちらですべて代行します」
などと契約を急がせるケースには注意しましょう。
災害後は住宅の修理などで焦りやすくなります。しかし、そこで即決してしまうと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。
保険会社には自分で確認する
保険金を請求できるか確認したい場合は、まず自分が契約している保険会社へ直接問い合わせるのが基本です。
また、自治体から発行される罹災証明書などが必要になる場合もあります。
住宅の被害状況は写真などで記録しておくと、後の手続きで役立つ場合があります。
ただし、撮影のために危険な場所へ入るのは避けてください。
⚠ 注意
「今日中に契約すれば安くなる」などと急かされた場合は、一度立ち止まりましょう。業者の説明だけで判断せず、自治体や保険会社などにも確認することが大切です。
平常時から家族で準備しておきたいこと
災害時のお金について考えるとき、重要なのは「被災してから調べる」のではなく、平常時に確認しておくことです。
たとえば、次のような情報を家族で整理しておくと安心です。
- 利用している銀行・信用金庫などの名前
- 加入している保険会社
- 保険の種類と契約内容
- 証券会社などの金融サービス
- 災害時に連絡する窓口
- 家族それぞれの避難場所
口座番号や契約情報などの重要情報は、保管方法にも注意が必要です。
災害時に自宅へ戻れなくなる可能性も考え、必要な連絡先を安全に確認できるよう準備しておきましょう。
スマートフォンだけに頼るのではなく、必要な連絡先を紙でも控えておくと役立つ場合があります。
非常持ち出し袋に現金を入れておくのも一案
災害時には通信障害や停電などが起き、キャッシュレス決済が利用できなくなる可能性もあります。
そのため、無理のない範囲で少額の現金を非常用として準備しておく方法があります。
ただし、避難するときに現金や貴重品を取りに戻ることは避けましょう。
防災用品を準備するときは、「持ち出せなかった場合」も想定しておくことが大切です。
まとめ
大規模な災害では、家や家財だけでなく、通帳やキャッシュカード、保険関係の書類などを失う可能性があります。
しかし、書類を紛失したからといって、預金や保険契約そのものがなくなるわけではありません。
災害時には金融機関や保険会社などが特別な対応を行う場合があります。
また、公的な支援制度や義援金などを利用できる可能性もあります。
一方で、災害後は不安につけ込んだ便乗詐欺にも注意が必要です。
特に住宅修理や保険金請求については、その場で契約を決めず、自治体や保険会社などに確認しましょう。
災害時に覚えておきたい3つのこと
- 命を守ることを最優先する
- 金融機関・保険会社の特別対応を確認する
- 怪しい勧誘にはその場で応じない
災害はいつ起こるか分かりません。
この機会に、家族で避難場所を確認するとともに、銀行や保険会社などの連絡先も整理しておくと安心です。
なお、災害時の金融機関の対応額や必要書類、支援制度の条件などは、災害の種類や被害状況、制度改正によって変わる場合があります。実際に被災した際は、各機関が発表する最新情報を確認してください。
記載の情報は執筆時点の一般情報であり、最新の詳細は公式をご確認ください。


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